膣トリコモナス炎は膣トリコモナス原虫による感染症であり、男女問わず発症する可能性がある疾患です。
感染の原因は主に性行為によるものであるとされていますが、性行為以外でも浴槽や便器、下着などから感染するリスクがあり、子供から高齢者を含めて感染するリスクがあることが特徴的です。
そして膣トリコモナス炎は発症すると様々な症状を引き起こしやすくなります。

膣トリコモナス炎は感染後すぐに症状が現れるという訳ではなく、潜伏期間は5~14日程度とされています。
そして現れる症状は個人差が見られたり進行具合によって異なり、男性の場合では排尿痛や尿道から分泌物が出るなどの尿道炎の症状が現れることがありますが、多くの場合は無症状であると言われています。
ただ尿道にとどまらず前立腺や精嚢にも感染し得ることから原因菌が潜伏した状態になる可能性があります。

一方、女性の場合は男性と比較して症状が現れやすい傾向にありますが、無症状であることも少なくないため、感染に気付かず時間が経過してしまうことがあります。
主な症状としては外陰部のかゆみや刺激感、熱感、ただれ、不正出血、悪臭を伴うオリモノが生じやすくなります。
また感染は膣以外にも尿道や膀胱に及ぶことがあり、その場合には尿道炎や膀胱炎の症状として排尿痛や頻尿が生じやすくなります。

オリモノの状態は膣トリコモナス炎の症状の有無や進行具合を把握していく上で重要なサインとなります。
例えば泡沫上のオリモノや、緑黄色あるいは白濁状のオリモノが見られたり、量の増加が生じてくることが挙げられます。
また状態によってはオリモノに悪臭を生じてくることがあります。
こうしたオリモノに異常が生じる原因は、膣にも雑菌の繁殖を防ぐ働きをする常在菌が存在しています。
膣トリコモナスに感染することで常在菌の栄養を吸収してしまい常在菌の働きが大きく失われることによって雑菌が繁殖するためであると言われています。

妊婦さんはトリコモナスに感染に注意してください

上記でも挙げましたが膣トリコモナス炎は感染していても無症状である場合もあるため、感染に気付かず症状が進行しやすいリスクがあります。
膣トリコモナス炎は発症してしまうと自然治癒が困難であることから、万が一放置した場合には大きなリスクを生じる可能性があります。

膣トリコモナス炎を放置してしまうことで生じ得る大きなリスクとして、女性では不妊症のリスクが挙げられます。
具体的にはトリコモナス原虫が膣をはじめ子宮や卵管にまで侵入すると卵管炎を引き起こすことがあります。
卵管炎が生じると卵子の通過障害が起きたり、卵管内で卵子が着床してしまう卵管妊娠や炎症で卵管内が癒着して卵子が子宮に到達できなくなる卵管性不妊といった不妊症に繋がる可能性があります。

また妊娠中の女性では膣トリコモナス炎に感染しないよう十分な注意が必要です。
理由として早産や場合によっては流産を引き起こしてしまう危険性があるためです。
具体的には妊娠中に膣トリコモナスに感染してしまうと、胎児を包む膜に炎症が生じて絨毛膜羊膜炎を引き起こす要因になります。
また原因菌が血液を介して胎児に感染を引き起こすと胎児の発育が阻害されてしまう要因となり得ます。
いずれも早産や場合によっては流産に至ってしまうリスクがあります。

このように膣トリコモナス炎を放置してしまうことや妊娠中の感染は大きなリスクを生じる可能性があります。
したがってできるだけ早期に適切な治療を行うことが重要で、治療ではフラジールという治療薬が用いられることがあります。
フラジールは膣トリコモナス炎に対する抗原虫薬ですが、治癒と再発予防のためにはパートナー共に治療を行っていくことが重要になります。